特許第5222632号
ポリフェニルカルボン酸類(スルホン酸類)は、医薬品や機能性有機化合物の重要構造として数多く利用されている。この様な骨格の化合物類は、ノーベル化学賞を受賞した鈴木クロスカップリング反応を利用して製造することが可能である。この反応は非常に有用で多方面に利用されている一方で、ポリフェニルカルボン酸類の製造方法には、下記の問題がある。 ①製造時に大量の有機溶媒を使用する必要があり、コスト問題、残留溶媒の問題、そして人や環境に対して問題である。 ②精製プロセスに中における、有機溶媒による静電気による発火の危険性がある。 ③一般的に、レアメタルに属する高価なパラジウム金属の使用と除去操作が煩雑である。 ④ポリフェニルカルボン酸やNa塩は、水に不溶性であり、不均一系触媒との分離が困難である。 そこで、R&Dセンターでは、この難題を回避すべく有機溶媒に代わる溶媒として安価で無害な水の利用と同時に、回収可能な金属触媒での、容易で安全な製造プロセスの開発を行い、その製造技術の実用化に成功した。 R&Dセンターで開発した製造プロセスは、安価で入手が容易なPd/Cと塩基としてテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを組み合わせることで、有機溶媒を全く使用しない水中での鈴木クロスカップリング反応が可能になり、容易にポリフェニルカルボン酸類の合成をすることが可能になった。この製法は、作業的にも非常に簡便で廃棄物の少ないクリーンなプロセスであり、本法で得られる目的物は高純度であり精製は不要であった。また、ろ過により取り除かれたPd/Cは、反応溶媒が水のため特殊な濾過設備を必要せず発火の危険もない。さらに、回収されたPd/Cは、精製処理加工を行わずに同じ反応に再利用が可能である。 |
日刊工業新聞(2011年7月1日掲載) |
国際公開番号WO2013/168693 日本国特許第6084967号 米国特許第9181254号 欧州特許第2848619号 中国特許第104736539号 インド特許第301318号 セピアプテリンとテトラヒドロラクトイルプテリンは、生体内で様々な機能を持つ塩酸サプロプテリン(BH4)と同じプテリジン骨格を持つ天然物であり、いずれの化合物もBH4生合成経路の中間体である。これらは生体内でBH4へと変換され、BH4としての機能を果たす。最近の研究で、セピアプテリンは、BH4と比べて血液脳関門を通過しやすく、BH4で効果が見られなかった脳機能障害を改善できる可能性があることが示された*1。 BH4は、様々な疾病に関与することが知られ、これまでに多くの疾病に対して臨床研究が行われたが、実用化されたのはPKU治療薬のみである。これらの化合物は、BH4に変わる様々な疾病に有効な新薬候補として期待されている。 しかし、現在に至るまでこれらの化合物の合成法は開発されていなく、医薬品として実用化するためには安定供給可能な製造法を構築する必要があった。 R&Dセンターで開発した製造法は、一般的な製法で合成できるラクトイルプテリンを原料とし、保護基を用いることなく、還元反応1工程でテトラヒドロラクトイルプテリンを、次いで酸化反応1工程でセピアプテリンを合成する方法である。これらの化合物は側鎖にカルボニル基を持つため、通常の還元方法では合成は困難である。新しく開発した方法は、カルボニル基を無保持のままプテリン環のみを選択的に還元することができ、世界で初めて天然物テトラヒドロラクトイルプテリンの合成に成功した。また、テトラヒドロラクトイルプテリンをセピアプテリンの重要中間体と位置づけ、プテリン環の5,6位のみを選択的に酸化する方法も開発し、セピアプテリンの実用可能な製造法を達成した。 *1:WO2011/132435 脳機能障害予防・改善用の薬剤及び飲食物 |
特許第5042843号 国際公開番号WO2006/118322 日本、米国等28か国で特許取得。 塩酸サプロプテリン(BH4)は、生体内に存在し、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン等の神経伝達物質の合成や、シグナル伝達物質である一酸化窒素(NO)の合成等に関与しており、体内のBH4が不足すると様々な障害が起こる。フェニルケトン尿症(PKU)はその障害の一つであり、脳の発育に重篤な障害が出ることから早期発見が必要とされており、日本では全ての新生児に対してスクリーニングが行われている。このBH4は、PKUの唯一の治療薬として重要な化合物である。しかし、BH4は極めて高価であるため、効率的で経済的な製造方法が求められていた。 ヒドラゾン体はBH4の製造における重要中間体である。しかし、ヒドラゾン体の合成法は多くの方法が報告されているが、反応に再現が無い、収率が低い、危険な過酸化物の使用、濃縮やカラム精製等があるなど、何れの方法も大量製造に不向きであり、BH4を安価に安定供給する上で、ヒドラゾン体の安定供給が最大の課題であった。 先ず、ヒドラゾン体の収率低下の原因は、REMの酸化工程にあると特定し、R&Dセンターで新しい酸化法を構築した。次いでヒドラゾン体までの連続的かつ大量合成可能なプロセスの開発を行い、製造技術の実用化に成功した。 R&Dセンターで開発したプロセスは、酸化剤として化学的に安定なOXONE®を用いることで、危険な酸化反応を回避し、副反応がほとんど生じない、定量的な酸化反応が可能となった。また、REMからヒドラゾン体までの製法は全て水中で連続的に実施でき、精製操作や濃縮操作を行うことなく定量的にヒドラゾン体が得られる。その製造期間は僅か3日間と、従来の製造法と比較にならない程効率が良い。また、水中での連続反応であるため、環境面の負荷も非常に少ないプロセスである。 |
特願2014-243670(PGC-1α発現促進) 特願2014-243671(脂肪分解促進) 世界的に肥満者数は、増加傾向にあり、肥満は心臓への負担増加、膝・腰等の関節に対する負担増加、生活習慣病の原因等、様々な悪影響を及ぼす。この肥満は、体内に中性脂肪が過剰に蓄積した状態であるが、肥満を改善させるためには、中性脂肪の吸収を抑制し、蓄積された中性脂肪の分解と、分解で生じた遊離脂肪酸をエネルギーとして消費(燃焼)、というプロセスが必要である。 中性脂肪が分解して生成した遊離脂肪酸は、消費されなければ中性脂肪に再合成され、再び脂肪細胞に蓄積する。遊離脂肪酸や糖質を消費するミトコンドリアを増加・活性化できれば、基礎代謝を向上させ激しい運動を必要とせずに肥満を改善させられる可能性がある。 このミトコンドリアの増加・活性化に影響を与えるのが遺伝子転写を制御するタンパク質であるPGC-1α(Peroxisome proliferator-activated receptor γ oactivator-1α)である。 我々は、鋭意研究を重ねた結果、カフェインとω3不飽和脂肪酸を含むリン脂質との組み合わせが、それぞれ単独で作用させた場合に比べて、内臓脂肪細胞及び筋肉細胞におけるこれまでに無い相乗的に優れたPGC-1α発現促進作用を示す事を見出した。本発明はさらに、中性脂肪の分解促進作用、前駆細胞から脂肪細胞への分化抑制作用を併せ持っている。 言い換えればこの製品は、安静時においても中性脂肪の分解から、ミトコンドリアの増加・活性化を介した遊離脂肪酸の消費を促進させることが期待される。すなわち、基礎代謝を向上させる有用物質として、色々な生活習慣病やアンチエイジング効果が期待できると考えている。 |
ブテア・スペルバは、タイ国メコン川流域の特定地域などに自生するマメ科胡蝶亜科に属する熱帯植物であり、タイ国のカレン族やモン族の間で古くから男性の強壮・強精剤、催淫剤として使用されてきた。伝承的なこれらの効果を科学的に検証するために、また新たなる効能効果を期待して根茎部分のエタノール抽出エキスについて薬理試験を実施した。
特開2004-131390(2004年4月30日) ウサギのクエン酸添加血液由来の血小板濃厚血漿を用いた試験系においてニトロプルシッドNaに匹敵する血液抗凝固活性が、また洗浄血小板を用いた試験系においてニトロプルシッドNaの約16倍強い血小板凝集抑制活性が認められた。 |
特開2005-320281(2005年11月17日) 正常ラットの単離膵細胞及び培養膵島を用いた試験系においてインスリン分泌促進作用が確認された。 |
特開2014-227379(2014年12月8日) 臭球摘出マウスを用いた新規物体認知試験、改変型Y-迷路試験及び尾懸垂試験等の試験において認知機能障害の改善が確認された。 |
特開2014-227380(2014年12月8日) 臭球摘出マウス及び慢性的軽度ストレス負荷マウスにおいて、尾懸垂試験における無働時間を有意に短縮し、また、ストレス応答の指標である蔗糖嗜好性と血中コルチコステロンレベルを有意に改善した。さらに、うつ病発症関連因子の一つである脳由来神経栄養因子の遺伝子発現量の低下を有意に抑制した。以上により、うつの発症の予防や改善を図れる可能性が確認された。 |