ごあいさつ

ごあいさつ

代表取締役社長

白鳥 悟嗣Satoshi Shiratori

2017年11月より白鳥製薬株式会社の代表取締役社長に就任いたしました。そのときの私の所信表明をお伝えいたします。所信表明は、(1)感謝、(2)変革、(3)受容、(4)邁進、(5)心構え、(6)むすびに、の6つに整理されます。

(1) 感謝
第一次世界大戦中という激動の時代1916年に、私の曽祖父が白鳥製薬を創業してから、100年が経過いたしました。2016年に倒産した企業の平均寿命は24.1年(東京商工リサーチ調べ)である中で、100年を超える時を刻んでくることができたのは、ひとえに、先人の努力と研鑽の賜物であり、その先人の真摯な取組に、深く感謝の意を表します。

(2) 変革
白鳥製薬が100年を超える時を刻んでくることができた要因は先人の真摯な取り組みと申し上げましたが、それをより具体的に解釈すると「変えるべきものと変えてはいけないものの双方を追求」してきたからに他ならないと受け止めています。
たとえば、白鳥製薬の創業品目はカフェインですが、その取扱方法は創業当時から今に至るまで、時代の変遷に合わせて変革してきました。お茶の葉から抽出していたカフェインを、茶滓のコストが上がった段階でコーヒー豆からの抽出に変更し、よりコストを下げるために合成カフェインの取り扱いも始め、海外の競合品が出てきた近年は、粗カフェインを輸入して精製するという形態に至りました。また直近では、合成カフェインの精製行為も取りやめ、転売業務に変更することを進めています。
変革を推進していくにあたって、「変革は決して先人の取組を否定するものではない」ということも強調しておきたいと思います。環境が変われば、打ち手も変わります。「先人への感謝の気持ちを忘れずに、環境の変化に合わせて変革を推進していく」という姿勢を、白鳥製薬では貫いていきます。 一方、「変えてはいけないもの」とは何か。それは企業の信条“Credo”です。白鳥製薬では2010年に、これまでの当社の文化に学びながら「私たちのCredo」を紡ぎだしました。ここにある精神がまさに「変えてはいけないもの」なのです。

(3) 受容
 「先人への感謝の気持ちを忘れずに、環境の変化に合わせて変革を推進していく」という姿勢を貫く上で、経営として大切なことが「受容の精神」だと考えています。
 私は、決して異論は排除しません。むしろ異論は大歓迎です。また異論に対して、短絡的に「それは間違っている」と感じることもありません。そもそも人の意見に「間違い」など存在しないというのが、私の考え方です。それでは、なぜ人によって考え方が異なるのでしょう。それは「環境認識」が異なるからです。どちらの意見の背景にある「環境認識」が、現状に合致しているのかという点を考えることが、異論と向き合う上で重要なのです。
 「変革」を推進する上でなぜ「受容の精神」が必要かと考えると、「変革」を起こす際にはさまざまな異論が生じます。そしてその異論を排除して、経営が暴走して意思決定を行うことは組織の活力を奪うことになります。異論を受容しながら、異論の背景を探り、議論と環境認識に対する理解を深めた上で、果敢に意思決定を行っていくことができれば、さまざまな意見が飛び交い、その議論の中から新たな「変革の芽」が生まれることもあると思います。そのような自由闊達な文化を育んでいく上で、異論に対する「受容の精神」が大切なのです。

(4) 邁進
 意思決定を行った後に、組織を上げて、その決定に対して邁進できるかが成果の成否を握っています。どんなに素晴らしい意思決定を行っても、正しく実行されなければ、何の意味もなしません。この実行力をあげるために必要なことが経営からの粘り強い働きかけだと考えています。
 「変革」には異論がつきものだと説明しました。そして異論に対して「受容の精神」を大切にするとも説明しました。ただこの「受容の精神」は、「社員100%の納得を待つ」ということと同義ではありません。「変革」は、他の人が気づいていないこと、気づけないことに対して、先手を打って邁進するからこそ「変革」なのです。全員が納得するような打ち手は、率直に言って「変革」でもなんでもありません。そしてそのような難しい「変革」の意思決定に対して、不安に思う社員に対して、語りかけ、鼓舞していくこともまた、私の大切な役割です。

(5) 心構え
最後に、このような姿勢をどのような心構えで取り組んでいくかについて説明します。
① 順境に楽観せず、逆境に悲観せず、現状に満足せず
好業績に驕ることなく、現状に満足することなく、新たな挑戦を継続して行っていきます。
② 楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する
私はロマンチストなリアリストだと考えています。夢は大きくもつ方ですし、風呂敷も広げまくる方です。ただ検討においては、数字に細かく、誰がどのようにやるかという細部にもこだわりを見せます。一方、いざやると決めた暁には、細かい点は担当者を信頼し、ポイントの報告のみを受けながら、方向性が誤っていないかを確認するにとどめます。
③ 愛をもって
何より大切な点は「愛」です。私にとっての「愛」とは、「人のため=自分のため=社会のため」という精神のことです。たとえば、親が子供に対して「○○は親の恥になるからやめてくれ」という考え方には「愛」がありません。一方で「○○をするのは君の将来のためにならないよ。君が素晴らしい人間に育てば私もうれしいし、社会にとっても意味がある。」という考え方は「愛」にあふれています。会社における一つ一つの言動、行動にも、このような「愛」があふれているかという点を自問していくし、社員にもこの姿勢を徹底して参ります。

(6) むすびに
私は2010年に白鳥製薬に入社しました。2010年は、リーマンショックの影響を大きく受けて未曾有の経営危機の状況にあり、そのような中、専務取締役という立場で、社長の補佐として、既に、多くの「変革」を提案し、「受容の精神」で議論を深め、社員を鼓舞しながら「邁進」して成果を上げてきたと自負しています。
これからは、代表取締役社長という重責を担うことになります。ただ、私には自信があります。先ほど掲げた「心構え」を胸に刻み、「感謝」の気持ちを持ちながら、「変革」を提案し、「受容の精神」で議論を深め、果敢に意思決定した後に、皆を鼓舞しながら「邁進」していけば、そこに明るく輝かしい白鳥製薬があるということを。
お客さまのご厚意、サプライヤーさまからのご協力、そして社員のがんばりを結集して、白鳥製薬を、日本を、そして世界を、より良くしてしていくことをここに誓います。